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【ドラマ感想】織田裕二のベストアクト「振り返れば奴がいる」

「振り返れば奴がいる」の織田裕二の芝居は圧巻だ。

「振り返れば奴がいる」の織田裕二の芝居は圧巻だ。

今回は、私がこれまで見てきたテレビドラマの中で、特に語り継ぎたいドラマとして「振り返れば奴がいる」をクローズアップしたいと思います。

「振り返れば奴がいる」は、1993年1月から3月まで毎週水曜日の21:00に、フジテレビで放送された医療ドラマです。

織田裕二と石黒賢のダブル主演で、ともに敏腕外科医である司馬(織田裕二)と石川(石黒賢)は物語を通して強烈なライバル関係を演じます。

タイトルも主題歌もベストマッチしたドラマ

まず、なんてったって、このタイトルですよね。

「振り返れば奴がいる」ですよ? かっこよすぎませんか…?

タイトルを耳にしただけで、普通のドラマではないな、ということが想像つくと思います。

主題歌は、CHAGE and ASKAの「YAH YAH YAH」。

誰もが一度は耳にしたことがあると言ってもいいくらいの大ヒット曲ですが、本当にこのドラマにハマっています。

歌詞の中に「今からそいつを、これからそいつを殴りに行こうか」という箇所がありますけど、ドラマの中で、石川(石黒賢)は司馬(織田裕二)を計3発殴っています。

なお、司馬が石川に殴りかかることはありませんが、オペの最中に石川の手の甲をわざとメスで切ったりしてました(第4話)。

脚本の三谷幸喜はこれが連続ドラマ初作品

このドラマの脚本は三谷幸喜。

三谷にとって、この作品が初めての連続ドラマの脚本でした。

もともと決まっていた脚本家が降板となり、突然三谷の起用が決まったそうです。

当時の三谷は喜劇ものしか書いたことがなく、せっかく書いた本作のシナリオは現場でどんどん変更されてしまったようです。

「振り返れば奴がいる」を担当するまで、医療ものはブラック・ジャックしか知らなかったようですので、かなりの苦労をされたことでしょう。

その後、「古畑任三郎」や「王様のレストラン」など、数々のヒットドラマを手がける三谷幸喜の最初の連続ドラマ作品がこの「振り返れば奴がいる」だったんですね。

主な登場人物

司馬 江太郎(27) …織田裕二

天真楼病院に勤務する外科医。傍若無人・傲岸不遜な性格。患者を人間と思わないような言動で周囲から煙たがられるも、天才的な技術で圧倒的な実力を発揮。次第に病院内で権力を握っていく。中川の教え子で、以前は明るく活発な医学生だったようだが…。

石川 玄(27)…石黒賢

海外の病院から天真楼病院に赴任した外科医。正義感の塊のような性格で、非人道的な行為をいとわない司馬と事あるごとに対立する。司馬には及ばないものの一流の腕を持ち、患者やスタッフからの人望も厚い。あるとき、病院の人間ドックを受け、精密検査の結果、白い影が見られ…。

大槻 沢子(26)…千堂あきほ

天真楼病院に勤務する麻酔科医。司馬の元恋人で、司馬とともに中川の教え子。登場人物の中で最も司馬をよく知る人物のひとり。以前とは変わり果てた司馬の姿を受け入れつつ、理解者であり続けようとする。

峰 春美(25)…松下由樹

天真楼病院の研修医。いつも心優しい石川に片思いをしている。司馬の打倒に燃える石川を支え続ける。

平賀 友一(35)…西村まさ彦(当時は雅彦)

天真楼病院の外科主任だったが、司馬と中川によりその立場を追われ、副主任に降格する。やがて、司馬にいいように利用されるようになり…。

中川 淳一(45)…鹿賀丈史

天真楼病院の外科部長。司馬の大学時代の恩師。医学界でも名の知れた名医だが、近年は一切執刀をしていない。石川をはじめ、周囲から問題視されている司馬の言動を、部長の立場でありながら一貫して黙認している。

とにかく織田裕二がすごい

「振り返れば奴がいる」は、ほぼすべてのシーンが病院の中で描かれているドラマです。

病院以外のシーンは、中川がオットーに接待されているシーン(第1話)と、石川と沢子がレストランで食事しているシーン(第5話)くらいではないでしょうか。

非常に限定的・閉鎖的な空間の中で描かれているドラマなんです。

司馬・石川・中川がいなかったら誰も満足なオペができなかったり、登場人物全員集合で司馬の糾弾会を開催したり、石川先生の顔が回を追うごとに白くなったり、ツッコミどころはいくらでもあるのですが、それらのすべてをふっとばすのが、司馬江太郎を演じる織田裕二の存在感です。

「東京ラブストーリー」や「踊る大捜査線」からはまったく想像もつかない織田裕二を見ることができます。

非常に特異なキャラクターである「極悪医師・司馬」を、織田裕二が見事に演じきっています。振り切ってますね。

このハマりっぷりは、おそらくキャスティングの想像以上だったんじゃないでしょうか。

「振り返れば奴がいる」は、間違いなく織田裕二のベストアクトでしょう。

司馬先生の衝撃セリフ一覧

劇中での司馬は、見ている側が「えっ?」と思うような、過激かつ衝撃的な発言を連発します。

その一部を紹介しましょう。

  • あのクランケ(患者)はどうせ死ぬ。──第1話
  • モルヒネ打っとけ。──第1話
  • 石川先生は何回あのクランケを死なせれば気がすむのか、聞いてください。──第2話
  • (心電図の)スイッチを切れ!(問題には)ならねえよ。俺とお前が黙ってりゃあな。──第2話
  • 大動脈瘤…どこにあるんだろうねえ。違う写真かな?いや、合ってるな。女でもないしな。──第4話
  • お前みたいな医者がいるから死にきれない患者が増えてるんだ。体中にチューブ付けられてな、死にきれない患者が増えてるんだよ!──第4話
  • お前の気がすむだけだろ。──第6話
  • いつ血を吐くかわからない人間が、オペ室にいたんじゃみんなが迷惑するんだよ!──第8話
  • 共犯なんだよ?君も。──第9話
  • ありがとう…いろいろ、手を回してくれて。楽しかったよ。──第9話
  • はっきり言う。今の症状じゃ助かる可能性はゼロだ。それを俺が10%まで引き上げる。お前は20%まで上げてくれ。──最終話

これ以外にもたくさんあるのですが、思いついたセリフをパパっと挙げさせてもらいました。

現代のドラマではなかなか聞けないようなセリフが、多数存在しているのです。

劇中で、今にもキスしそうなくらい、近距離での睨み合いを連発していた織田裕二と石黒賢は意気投合し、現在では親友の間柄だそうです。
映画「ホワイトアウト」の吉岡役に石黒賢を推薦したのも、主演の織田裕二だったそう。

中川役の鹿賀丈史も秀逸でした。
正直、中川役が鹿賀丈史じゃなかったら、どういうドラマになっていたのかわからないくらいです。
何度も見られる織田裕二と鹿賀丈史の掛け合いは、このドラマのハイライトと言ってもいいでしょう。

*余談ですが、鹿賀丈史扮する中川は、そのままの役柄で古畑任三郎の第1シーズン第8話「殺人特急」に犯人役で出演しています。

そして、なんといっても衝撃的なラストシーン…。当時、私はつい声をあげてしまいましたよ。

こんなに刺激的なドラマは、今でもなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

興味のある方は、ぜひ第1話から……いや、1話はちょっとテンポがゆったりだから、忙しかったら2話からでもいいや。ぜひ見てみてくださいね。

  • 第1話「おまえが嫌いだ」
  • 第2話「おまえが殺したんだ」
  • 第3話「追い詰める」
  • 第4話「死にたがる患者」
  • 第5話「致命的な失敗」
  • 第6話「過去に何があった」
  • 第7話「告知」
  • 第8話「新記録」
  • 第9話「敗北」
  • 第10話「最後の対決」
  • 最終話「別離(わかれ)」
この記事のまとめ

・「振り返れば奴がいる」は織田裕二のベストアクト。傍若無人な外科医を演じている。
・脚本は三谷幸喜。「振り返れば奴がいる」で初めて連続ドラマを担当した。
・主題歌はCHAGE and ASKAの大ヒット曲「YAH YAH YAH」。
・主人公の衝撃的なセリフが数多く見られる。
・脇を固める俳優陣もよく、特に鹿賀丈史は秀逸。