いよいよ今年2020年7月24日に開幕する東京オリンピック。
オリンピックには毎回公式マスコットが選定されますが、その東京大会のマスコットは、みなさんご存知ですか?
その名は「ミライトワ」。
東京オリンピック・パラリンピックの公式マスコットは、全国の小学生による投票により決定しました。
最終選考に残った3案の中から、この「ミライトワ」と「ソメイティ」が選ばれたのです。
ミライトワは、大会エンブレムと同じ藍色の市松模様を頭部とボディにあしらったキャラクターです。
デジタル世界に住んでいて、インターネットを介して現実世界との間を自由に行き来することができるんだそう。
正義感が強く、運動神経もバツグンで、どんな場所にも瞬間移動できることが特技のようです。
名前の由来は、「未来」と「永遠(とわ)」の2つの言葉で、「素晴らしい未来を永遠に」という願いが込められています。
LINEスタンプなども出ていて、私もたまに使ってます。
TOKYO2020の公式アカウントと友だちになると、無料で手に入ります。
Instagramもやっていますね。投稿の頻度は少ないようですが…。
過去のオリンピックではどんなマスコットだった?
ミライトワはデザインが整っていて、「かわいい、親しみやすい」というよりも「強い、カッコイイ」マスコットに仕上がっているんじゃないかな、と思っています。
では、過去のオリンピックのマスコットはどうだったでしょう?
オリンピックのマスコットは、基本的に期間限定の露出になります。
そのため、大会が終わってしまうとどうしても記憶からフェードアウトしてしまう。
今回は、その記憶を掘り起こすために、過去の情報をたどれるだけたどってみました。
さっそく直近から順に見ていきましょう。
リオ2016大会マスコット「ヴィニシウス」
リオ2016大会のマスコットは「ヴィニシウス」。
ブラジルの文化を反映するようなキャラクターデザインを公募した結果、サンパウロのアニメーションスタジオ「バードスタジオ」のデザインに決まりました。
ヴィニシウスは、ブラジルに生息する動物を表現したキャラクターで、ネコの敏捷性やサルの身体を揺らす動き、鳥の優雅さを兼ね備えていて、ブラジルの動物たちの最も優れた部分のすべてを再現できるそうです。
ネコ、サル、ジャガーなど、いくつもの動物を混ぜたデザインは、世界中からやってきた移民が入り交じって暮らすブラジルの「ミックス文化」を表現しています。
また、「ヴィニシウス」という名前は、インターネットでの一般投票で決まりました。
ボサノヴァの名曲「イパネマの娘」を制作したヴィニシウス・ヂ・モライスにちなんで名前が決まったそうです。
「イパネマの娘」はリオ大会での開会式でも流されました。誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
"The Girl from Ipanema" Astrud Gilberto, João Gilberto and Stan Getz
ヴィニシウスの使命は「世界中からやって来る人々の間で栄える友情を祝福し、世界中に喜びを広げる」こと。
ブラジル国内ではかなりの人気を博したようで、グッズの売り上げは当初予想を11%も上回ったそうです。
子供にも親しみやすいマスコットに仕上がっていますよね。
ロンドン2012大会マスコット「ウェンロック」
ロンドン2012大会のマスコットは「ウェンロック」。
…いやはや、目がひとつのマスコット。かなりのインパクトですね。
耳や口もなく、どう考えても子供に受けるとは思えません。よく採用されたなあ、と思ってしまいますが…。
やはりというか、あまりウケはよくなかったようです。
デザインは「IRIS NATION」。
「ウェンロック」の名前の由来は、イングランド西部のシュロップシャー州にあるマッチウェンロックという町。
19世紀からウェンロック・オリンピアン競技大会というスポーツイベントが毎年開催されており、クーベルタン男爵はここから近代五輪のヒントを得たと伝えられている、オリンピックの歴史に深く関わっている町です。
設定は、「イングランド北西部の工業の町ボルトンで、オリンピックスタジアムの建設に携わって定年退職した老人が、スタジアム建設の際に使われた鉄片で孫のために作った人形が虹の光を受けて生命を吹き込まれ、人々をオリンピックに導く」というもの。
目はカメラのレンズになっていて、見るものすべてを撮影できるそう。
頭上はロンドンのタクシー「ブラックキャブ」のライトを表していて、輪郭はロンドン五輪のメインスタジアムがモチーフ。また、腕にはオリンピックカラーで彩られた「フレンドシップ・バンド」という腕輪が付けられています。
まあ、それにしても、本当によく採用したと思いますよ。あっぱれ!
北京2008大会マスコット「福娃(フーワー)」
北京2008大会のマスコット「福娃(フーワー)」は、「幸福をもたらす5人の童子」。
マスコットが5体というのは、オリンピックのマスコット史上最多のようです。
確かにあまり多くてもなぁ…という気もしますが、5人の設定を以下のとおり。
貝貝(ベイベイ)
一番左の水色のキャラクターが貝貝(ベイベイ)です。女の子。
頭部は中国の伝統画である連年有魚と、中国新石器時代の半坡遺跡から出土した紋様をモチーフにしています。温和で友好的な性格。海洋を象徴したキャラクターで、得意競技は水泳。
晶晶(ジンジン)
左から2番目のパンダのキャラクターが晶晶(ジンジン)です。男の子。
緑色の部分は宋代の焼物「宋瓷」に使われたハスの花びらをモチーフとしています。楽観的でパワフルな性格。森林を象徴したキャラクターで、得意競技は柔道など力を使う競技。
歓歓(ファンファン)
真ん中の赤いキャラクターが歓歓(ファンファン)です。男の子。
敦煌壁画に描かれている炎の文様をモチーフにしており、外向的で責任感が強く、グループのリーダー的存在のようです。頭の火はオリンピックの聖火を表しており、文字通り火を象徴したキャラクター。特異競技は球技。
迎迎(インイン)
右から2番目の黄色いキャラクターが迎迎(インイン)です。男の子。
頭部の飾りはチベットや新疆などの西部地域のデザインで、チベットカモシカをモチーフとしています。すばしっこく、やんちゃな性格。大地を象徴したキャラクターで、得意競技は陸上競技。
妮妮(ニーニー)
一番右の緑のキャラクターがニーニー(妮妮)です。女の子。
頭部の飾りは沙燕凧をイメージしていて、ツバメをモチーフとしています。天真爛漫な性格。天空を象徴したキャラクターで、得意競技は体操競技。
そして、なんと!
この福娃たちの名前をつなげると、中国語で「北京へようこそ(北京欢迎你)」と同じ発音になるそうです。
こういうアイディアが素敵ですよね。
発音を聴きたい方はコチラ→ Google 翻訳
このように、中国の多様な文化をモチーフに制作された「幸福をもたらす5人の童子」ですが、北京オリンピック開幕前に中国各地で多発した災害や騒乱の「象徴」とされた残念な事実があります。
魚をモチーフにした貝貝が中国南部の大洪水を、パンダの晶晶がパンダ保護区域で有名な四川省での大地震を、チベットカモシカの迎迎がチベット騒乱を、聖火をモチーフにした歓歓が各地で大量の逮捕者を出した聖火リレーを、沙燕凧を頭につけた妮妮が凧で有名な山東省で発生した列車衝突事故を、それぞれ思い起こさせるとされました。
それらが理由かはわかりませんが、福娃は北京オリンピックの開会式に参加しなかったのです。
アテネ2004大会マスコット「フィボス」と「アテナ」
アテネ2004大会のマスコットは、「フィボス」と「アテナ」。
オリンポスの神が名前の由来です。
「フィボス」は、光と音楽の神でアポロの別名で、「アテナ」は知恵の女神であり、アテネの街の守り神でもあります。
彼らは兄妹で、古代ギリシャから伝わるベルの形をしたテラコッタ人形をモチーフにし、オリンピックの理想である「創造とスポーツを通じての永遠の人類愛」を象徴しています。
この「フィボス」と「アテナ」ですが、当時、アテネオリンピックの組織委員会と日本オリンピック委員会とのライセンス契約が合意に至らず、開催直前まで公式グッズを日本で販売することができなかったそうです。
毎回毎回、こういう交渉が水面下で行われてきた結果、私たちの手に公式マスコットのグッズがわたってくるんですよね。
シドニー2000大会マスコット「シド」、「オリ―」、「ミリー」
Sydney 2000 Mascot(s) Syd, Olly and Millie | History & Photos
シドニー2000大会のマスコットは、「シド」、「オリー」、「ミリー」のトリオ。
カモノハシの「シド」
エネルギー溢れ活気があり、リーダー的存在。水泳をこよなく愛す。自然保護に燃えるナチュラリストで、「シドニー」が名前の由来だそうです。
ワライカワセミの「オリー」
空を象徴したキャラクター。社交的で正直、熱心で従順な性格は、オリンピックの国境を越えた友情精神を反映しています。情報収集やコミュニケーションが得意で、「オリンピック」が名前の由来。
ハリモグラの「ミリー」
陸を象徴。女の子のミリーは、シドニーの希望と楽観主義の化身で、新テクノロジーの天才という設定。スポーツを通して、より平和な世界を築くのが夢で、「ミレニアム」が名前の由来です。
オーストラリアだけに、コアラやカンガルーをモチーフにしたマスコットがデザインされるかと思いましたが、そうではありませんでした!
デザインをしたイラストレーターのマシュー・ハットンさんは、「これは世界にオーストラリアの野性動物を知ってもらうチャンスです。国際的にカンガルーとコアラはよく知られて、いたるところに使われているけれど、こんなにエキゾチックで驚くべき動物もいるんだよって知ってもらいたかったんです」とコメントしていたそうです。
余談ですが、オリーのワライカワセミというのは、人間が大笑いしているような声で鳴くことから、この名前が付けられています。
こんな鳴き声です。↓↓↓
アトランタ1996大会マスコット「イジィー」
アトランタ1996大会のマスコットは「イジィー」。
CGを使ってデザインされました。
イジィーは幻想の生物で、何に似ているのか想像がつかないことから、「What is it?(これは何でしょう?)」という意味で、当初は「WHATIZIT(ワティジット)」と命名されました。
しかし、これが発音しづらいことから短縮して「Izzy(イジィー)」と呼ばれるようになったという珍しい経緯があります。
発表当初からあまり評判がよくなかったそうで、何度かデザインが調整されたマスコットです。大きく開いた口、目の中の星、細く長い足がつけられ、最後に赤い鼻が加わったそうです。
いろいろ紆余曲折があったのね、イジィー…。
バルセロナ1992大会マスコット「コビー」
バルセロナ1992大会のマスコットは「コビー」。
オリンピック公式マスコットの中でも、最も成功したマスコットのひとつと言われています。
バルセロナオリンピック実行委員会(Comité Organizador de las Olimpiadas de Barcelona)の略称「COOB」が名前の由来で、スペインの世界的デザイナー、ハビエル・マリスカルさんによってデザインされました。
期間中は、コカ・コーラやブラザーなど、オリンピック公式スポンサーのマスコットにも使用されるなど人気を博し、テレビアニメ「コビーの冒険」は約100ヶ国で放映されました。もちろん日本でも!
マスコットはその大会を象徴する存在
以上、東京2020大会のミライトワからバルセロナ1992大会のコビーまで、公式マスコットを見てきました。
こうして見ると、どのマスコットもやはり個性的ですよね。開催地の文化や特色をしっかりと背負いながら、ストーリーを体現しています。
オリンピックのマスコットは開催地の文化的な遺産を表現し、世界の人々を歓迎する、大会の象徴的な存在です。
ミライトワも、来る東京オリンピックで大活躍してほしいですよね。
そして、世界の人々から愛されてほしい。
グッズ買おうかな…長女(もうすぐ3歳)も好きみたいだし…。
・東京2020オリンピックの公式マスコットは「ミライトワ」
・全国の小学生たちから選ばれた。
・過去のオリンピックでもさまざまな個性的なマスコットが活躍した。
・公式マスコットは大会の象徴的存在。がんばれ、ミライトワ!